2010年3月23日火曜日

戦略の遂行性

 何を発表するかを書かないまま、昨日の日記をアップしてしまいました。なので、簡単に次回学会報告の内容をアップしておきます。

 急いで書いたものなので十分に練られたものではないのですが、もし良かったらコメントなどいただければ幸いです。

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タイトル:
 戦略の遂行性

要旨:
 通説的な戦略研究では、企業が競合他社に対してどのように超過利潤を得るかが前提となり議論が展開してきた。しかしながら、そうした理解が現場の人々にも浸透するとすれば、これを対外的に示すことは論理的にあり得ない。なぜなら、もし対外的に示すことになれば、その瞬間に自社の競争優位性は失われることになる。一方で、そうした属性を利用し「戦略」を意図的に競合他社に示すことで、それを逆手にとった行動を生じさせることにより、競争優位性を獲得することも可能である。

 このように考えると、Porter(1980, 1985)やBarney(1991, 2002)に代表される既存の戦略研究のように競争に勝つ(負けない)戦略を構築するということとは異なった視点が必要となろう。このことに対し、例えば、Knights and Morgan(1991)は、戦略を権力を伴った言説と捉え、それが再生産されていくプロセスについて系譜学的な分析を行っている。そこでは、何らかの掲げられた戦略を基軸に据えるのではなく、その掲げられた戦略を契機とした再構築と変容について述べられている。

 このことから本報告では、戦略は掲げられるその瞬間に再構築または変容することを遂行性の観点から議論していく。本報告の流れとしては、既存の戦略研究において何が問題かを明示化するために、既存研究が抱えていた根源的な理論的課題を振り返る(第2節)。その上で、組織メンバーや競合他社に読み解かれ、それに基づく行為や新たなカウンターパワーが生じ、さらに当事者たちの絶えることのないさらなる読み解きにより遂行的に変化し続ける存在としての戦略について、Levy and Scully(2007)のHIV治療薬をめぐる製薬会社と特許を開放するNGOとの闘争や、松嶋・水越(2008)の我が国のオンライン証券事業における制度を梃子とした企業間の絶え間なき読み合いを事例にしつつ議論を展開していく(第3節)。

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